じゃがいもの様々な呼び名

日本において「芋」というとたいていの人がジャガイモ、サツマイモ、サトイモのいずれかを思い浮かべるほどポピュラーな食材であるため、呼び名も様々ある。

■じゃがいもの「ジャガ」は「ジャワのジャガトラ」から
「ジャガイモ」という呼び名は、これが16世紀末、オランダ人によって日本にもたらされた。この芋には和名が多く、じゃが芋の「じゃが」とは、ジャワのジャガトラ(ジャカルタ)から伝播したことに因む。これが変化して現在のジャガイモという呼び名になった。その他の説としてはジャワ島の芋の意味のジャワイモが変化した、天保の大飢饉で、ジャガイモのおかげで餓死を免れた事から呼称された「御助芋」が転じたものなど諸説がある。

■「馬鈴薯」は中国名と関係
「馬鈴薯」(ばれいしょ)という呼び名もよく用いられる。これは中国での呼び名のひとつと漢字が同じで、中国語で読むとマーリンシュー(ピン音 mǎlíngshǔ)となる。18世紀に日本人の小野蘭山が命名したといわれているが、中国名をそのまま輸入したものなのか、新しく付けた名前がたまたま中国名と同じだったのか、それとも小野蘭山の命名が中国に伝わったのかは明らかではない。一説には、ジャガイモの形が馬につける鈴に似ているという事からこの名前になったという。また、「マレーの芋」という意味からこの名前が付けられたという説もある。なお、中国ではほかに「土豆」(トゥードウ)、「洋芋」(ヤンユー)、「薯仔」(シューザイ)などの呼び方もある。

■地方では「きんかいも」とも
地方名として、「きんかいも」とも呼ばれる(「きんか」とは金柑転じて禿げのこと)。また、1年に2~3回収穫できることから「にどいも(二度芋)」「さんどいも(三度芋)」とも呼ばれる。「南京イモ」「ごしょいも」と呼ばれる事もある。

■江戸時代は「お助けイモ」
痩せた土壌でも栽培しやすく、ビタミンやデンプンが豊富に含まれている上に、茹でる等の簡単な調理で食べられ、加熱してもビタミンが壊れにくいジャガイモは、江戸時代に幾度となく発生した飢饉の際に、サツマイモと同じく主食である米等の穀物の代用品として食べられ、ジャガイモによって飢餓から救われたという記録が残っている。このために「お助けイモ」と呼ばれた事がある。また、飢饉の際にジャガイモ活用を勧めた代官の名を取って、「善太夫芋」「清太夫芋」と呼んだ地方もあった。

■「ポテト」は「batata」から
英語のpotatoの語源は、タイノ族の言葉でサツマイモを意味するbatataがスペイン語のpatataに変化したものによる。なお、ジャガイモの原産地で古くから使われている言語の一つであるケチュア語ではpapaと言うが、この単語はそのまま中南米スペイン語で使われている。スペイン語でbatataがpatataに変化したのはこのpapaの影響であると考えられている。Papaはローマ法皇を意味する単語と同じであったため、これを忌避してPatataに変遷したともいわれる。
参照→wikipedia